バイトをして現在地を知る【大人の引きこもり脱出】

第4回 求人に応募し、アルバイトをする

 

 引きこもり脱出 第4回は「実際にバイトしてみる」になります。

 小学2年からの約15年を引きこもりで過ごした私が、引きこもりから抜け出す方法を自身の経験に基づいて徹底的に語っていきます。

 

 第3回はこちら

 

 “武装”ができ、自信をつけることができたら、早速社会の渦に飛び込みましょう。

 

 といっても、必要以上に身構えたり、気負いしたりすることはありません。

 何故なら、このアルバイトの目的は社会復帰ではなく、自分の立場、能力をよく理解するためだからです。いわば予行演習です。

 

バイトをする目的

 

・自分の立場、能力を理解し、人生の現在地を把握する

・その過程で自分の能力向上や、壁を越える可能性を得る

・あわよくばそのまま社会復帰するという可能性を得る

・ついでにお小遣いを稼げる

 

バイトは人生の現在地を知る旅

 

 引きこもりが長期化した人ほど他人との関わりが薄れていて、他人からの評価などとも無縁の生活になるという状態に陥りがちです。

 こういった人の場合、自分の立場、状況、能力を自分ですら正しく理解していない状態になりがちで、したがって自信も喪失しがちになります。

 結果として、うつやそれに近い状態になったりして、引きこもり生活から抜け出しづらい、負のスパイラルにハマりやすくなります。

 

 そこで、自分の現在地を正確に把握するため、バイトという試練を受けてみるのが今回の趣旨になります。

 

応募する前に

 

 重要な労働契約の話、契約期間、勤務時間、給与や退職に関することなどは、ブラックバイトから自分の身を守るためにも面接の際に、あるいは求人票を事前によく確認しておきましょう。

 

アルバイトを始める前に知っておきたいポイント (厚生労働省より)

 

早速応募してみましょう

 

 バイトであれば、学歴や職歴に関係なく雇ってくれるところは山ほどあります。

 自分の気に入ったバイトや、これからの自分のためになりそうなバイトを、上から目線で選り好みしてやってみましょう。

 

俺は会社を選ぶ側の人間。ほう、これは俺様にとってもメリットのある仕事だな。よし、入ってやってもいいぞ

こんな意気込みで丁度いいくらいです。無論、声に出すのは我慢ですが。

 

 気負いすることはありません。堂々と行きましょう。

 

 企業や面接官によっては落とされたり、嫌な思いをすることもあるかもしれませんが、気にしないで次行きましょう。当たりを引くまでガチャるイメージです。

 

バイトを始めた後 『最大の敵』メンタルケア

 

 無事、バイトが決まって晴れて働くことになりました。

 まずはおめでとうございます。

 外の世界に踏み出し、期待あり、不安ありの波瀾万丈の旅の幕開けです。

 ただ引きこもりだった人の場合、働き出せたとしても、そのうち問題が表面化してくることがあります。以前の記事で記した、メンタルケアの部分です。

 

 職場の人間関係や仕事がなかなかうまくいかなかったり、覚えられなかったり、繰り返し叱責を受けたりしてイライラしたり気が滅入ったりひどく落ち込んだり環境によってはうつになる危険もあります。

 引きこもりの人にとって、周りの人の期待はどうしても相対的に高くなる傾向にあるため、こういう状況に陥りがちです。気にすることなく前に進むことができるのならそれが一番良いのですが、うつなどの精神状態の悪化というリスクがある人の場合は無理は禁物です。

 

気が滅入りそうな時、うつになりそうな時は

 

 メンタルが押し潰されそうになった時の3大対処法をご紹介。

・受け入れる

・耐える

・逃げる

 

受け入れる

 

・自分の弱さを受け入れる。

「ありのままの自分を受け入れる勇気を持つ」というやつです。

 

 こうすることで、現状は仕方がない。と認識し、前に進むことに集中する手法。

 

 ただし、これも人によっては無理にやると鬱になるリスクがあります。「自分はこの程度の人間だったのか」と絶望し、立ち上がれなくなってしまうケースです。

 そうなって立ち直るのが大幅に遅れてしまっては本末転倒なので、無理だと思ったら先送りすること、実行しない勇気も時には必要になります。

 

耐える

 

・強い目的、目標をもち、耐える。

 逆境に耐えなければならないと思い込む)状況を作る。

 

 現代の日本社会が求めているであろうもの。職場環境によっては多大なストレスを抱え込むことになるため、これを発散させる手段に乏しい場合はやはりリスクを伴います。

 

 大きなミスをして激しい叱責パワハラなどを受けた場合「あー…死にてぇ…」などと、耐え難い精神的苦痛を余儀なくされる場合があります。この場合、まともにただ耐えようと思うと精神が崩壊するリスクがあるため、人にもよりますがお勧めできません。

 

 そこで、オススメの防御スキルをご紹介します。

ノートに自分の成果を書き出す

 

 気が滅入ったらor滅入りそうになったら、おもむろにノートや紙を取り出します。「スマホのメモを起動する」でもOK。

 そして、自分がバイトでやってきた仕事、出してきた成果や「オレ輝いてる!」と思えた場面などを箇条書きで書き出してみましょう。失敗はこの時点ではまだ書く必要はありません。担当した仕事、成果とか成功体験だけでヨシ。

 

 もちろんこれは自分だけが見るメモ帳です。他人に見せる必要はありません。

「そんなのできて当たり前だろ」と上司や先輩が言ってきてたことでも、無視して書き殴りましょう。

 

こんな感じで羅列します。(飲食店バイトのサンプル)

「こんなことして何になる」と思った方、ちょっとお待ちください。こうやって書き出すことは大きな意味を持っているんです。

 

 それは、自分の仕事、実績、成功体験を一つ一つ思い出して再確認し、自信につなげること。

 もう一つに、これらを客観的に評価、認めることができること。

 

 認めてくれる人なんていない、自分で自分を認めることも難しい、それならば、自分が第三者になったつもりで評価し、認めてあげましょう。

 

 これまでの実績の記憶を頭から取り出して出力することで、こういった記憶を忘れにくくして頭の中に長く留めることで自信に繋げる狙いです。

 また、人間というのは不思議なもので、こうやって書き出してみると自分のことなのにまるで第三者を見ているように「すごいなー」と思えてくるようになります。

そうやって少しずつ自信を取り戻し、自分のことが好きになれれば活路は開けます。

 

逃げる

 

・あんまりひどければ退職する

 人間関係や叱責、パワハラなどに耐えられなければ、退職しちゃうことも視野に入れましょう。

事業所        娑婆→

 

 ありがちな退職時のトラブルとして、辞めさせてもらえないというケースが挙がりますが、これは前回で学んだ法律が活かせます。労基法民法で定められた雇用や労働契約に関すること、そして人権などについて理解していれば、堂々とこちらの意見を通せるはずです。

 

 また、逃げるといっても無断で突然バックれたりするのはNGです。逆に会社に損害賠償を請求されるなど、裁判沙汰になる可能性があり、結果的に損害は増えてしまう可能性があるからです。

 もしかしたら現在進行形で苦しんでいて逃げたくてたまらない、という方もいるかもしれませんが、ここはグッと堪えてください。合法的に逃げましょう。立つ鳥跡を濁さず

 

契約を結ぶ前に契約期間、勤務時間、給与や退職に関することが記載された契約書をよく確認しておく
やめたい場合、辞める1ヶ月以上前にあらかじめ辞めることを担当者に口頭で伝える。
期間に定めのある労働契約を締結した場合であっても、一年を経過した日以後においてはいつでも退職することができる。

 

 労働契約書はよく確認しておき、相手がそれと矛盾したこと、もしくは明らかに法律違反であることを言ってきたら即座に問いただすことが重要です。自分の身は自分で守りましょう。

 ちなみに労働基準法などの法律は、基本的に労働契約書の定めよりも強いです。明らかに違法な労働契約はそもそも無効になります。ご参考まで。

 

 

 辞めることを伝えるのは少し勇気がいることかもしれません。職場の雰囲気や担当者によってはかなり圧かけてきます。

 こういう場合はこちらの主張を曲げたりせずに相手が根負けするまで食い下がりましょう。場合によっては法律を盾にすることをほのめかしたり、スマホ録音という武器も活用するなどして相手に屈しないようにしましょう。

 

こちらもご確認ください

学生アルバイトのトラブル Q&A (厚生労働省より)

ブラックバイトとは|主な特徴と学生も出来る法的対策ガイド|労働問題弁護士ナビ

退職の引き止め、どこからが違法?6つの主なラインと対処法を解説 | リーガライフラボ

 

今回のまとめ

 

 長くなったので、今回はここで区切ります。今回のポイントです。

自分をよく知るためという目的を持って臨む
契約期間、勤務時間、給与、退職のことを労働契約を結ぶ前によく確認する
働いてみるのも良い気分転換になるゾイ

 

 次回は「バイトをやめたその後」のお話です。それでは良いバイトライフを。